報道関係者各位
プレスリリース(報道資料)

2011.07.01
ニュースリリース

DENGYO新開発の自然災害検知無線システムの実用性が、土石流などを想定した自然災害発生検知試験において実証されました

最近多発する自然災害の被害を防ぐため、自然災害検知画像解析ソフトと
マルチメディア伝送システム“テレポータブル®”との組合せで、
土石流などの監視において簡易かつ的確な検知を実現しました。

日本電業工作株式会社(本社:東京都千代田区九段南4‐7‐15、社長:岩本眞)はこの度、弊社の開発した自然災害検知無線システムについて、圧倒的に誤検知が少なく、実用領域にあることがいくつかの実証実験により評価されたことを発表致します。
本システムは、過去に行われた画像による土石流検出のシステムの比較実証実験で、既存のソフトウェアに比べて期間内における誤検知件数が1000分の1という良好な性能が確認されております。さらなる改善を行った結果、最新の実証では更に検知精度が向上し、8か月間で誤検知が前回比10分の1減少と驚異的な結果を得ており、実用に供することができるシステムと評価されました。
本ソフトウェアにより自然災害の画像による精度の高い検知が実用化されますと、従来のワイヤーセンサを用いる検知では難しかった災害の第二波発生の検出や、ワイヤーの張替え作業が不要になります。また、本ソフトウェアと災害地に簡易に設置できる無線方式のマルチメディア伝送システム“テレポータブル®”を利用したシステムで、より簡単に、安価に土石流を監視できます。人が近づけない場所の観測や長期間の定点観測など、無人監視が求められるあらゆる用途への応用が期待されます。

 

<開発の経緯>

最近の地球温暖化による局地的大雨や、日本近海のプレート運動活性化による地震や火山噴火などにより、土石流、土砂崩壊、落石、火砕流、河川増水といった自然災害が頻繁に起こっています。危険な地点は常時観測し、災害発生に備えたいところですが、有人監視では労力、コストが非常にかかります。そこで、観測地点の画像から災害を自動的に誤検知が少なく検知でき、危険地域に簡易、かつ迅速に設定できるシステムの開発を目指しました。

<克服した課題>

1. 実用的なソフトウェアとするためには、確実に、かつノイズを少なく災害を検知できるかが重要です。ノイズには、霧や雨など自然現象による画像ノイズ、風や振動によるカメラの位置ずれなどの外乱(ロバスト)がありました。
2. 観測地点の画像を送るカメラは、あらかじめ定点設置され、通常、光ケーブルや電話回線により画像を伝送します。しかし、緊急を要する場合や回線が敷設されていない場合は伝送することが困難です。このような事態に対応するため、無線を使用して画像を伝送するなどの対策が必要でした。

<開発した技術>

1. 本ソフトウェアは、自然災害映像の観測可能な情報から未知のパラメータを推定するHMM※1(Hidden Markov Model:隠れマルコフモデル)を用いた動画パターン検出方式を採用し、耐ロバスト性※2 に圧倒的に優れています。また、最新の開発では、多変量解析に用いられるマハラノビス汎距離※3 による解析を加えることにより、自然現象による誤り検出精度を上げるとともに、河川の流水速度も測定することができます。
2. “テレポータブル®”は、災害対応の可搬性を確保するため、給電系の損失が少ない高利得平面アンテナを採用し、アンテナ面積を飛躍的に小さくしました。その結果、軽量コンパクトで受風面積が小さくなり可搬性が向上しております。このアンテナは、法政大学の中野久松教授の指導のもとファブリペロー型共振器※4 の技術を採用し、従来製品との開口面積比で30%改善(当社比)という圧倒的な小型化を実現しております。

※1 隠れマルコフモデル
IBM が考案した確率的な言語モデルの一つ。音声認識、ゲノミクス、形態素解析(自然言語処理)などに応用されている

※2 ロバスト性
外乱や設計誤差などの不確定な変動に対して、システム特性が現状を維持できること

※3 マハラノビス汎距離
統計学で用いられる一種の距離。新たな標本につき、類似性によって既知の標本との関係を明らかにするのに有用

※4 ファブリペロー型共振器
劈(へき)開(結晶の割れやすい面で割ること)によって作られた平行な反射面での定在波を起こすことにより共振状態に至る共振器

<ユーザーメリット>

1. 誤検知数が極めて少なく確実に災害を検知することが可能となります。
2. 災害検知情報が設定した危険レベルになったときに、自動的にアラーム情報を携帯電話にメール又は音声で通知することができ、事前に安全な場所まで避難することが可能となり、大規模な人的被害の予防に貢献します。
3. 観測画像の伝送を無線方式の“テレポータブル®”で行うことにより、光ケーブルや電話回線が敷設されていない場所でも簡単、かつ安価に災害検知システムを提供する事が可能となります。
4. “テレポータブル®”は、簡単に生中継ができるマルチメディア伝送システムです。電源内蔵、防水仕様のオールインワンパッケージで可搬性に優れ、またパソコン接続が不要で面倒な設定・操作も要りません。観測地点と回線設置地点に“テレポータブル®”を設置すれば、簡単に画像を伝送することができます。

<システム構成例>

<自然災害検知画像解析ソフト>

(一部の画像は、国土交通省九州地方整備局
大隈河川国道事務所ホームページから引用しています)

(一部の画像は、国土交通省九州地方整備局 大隈河川国道事務所ホームページから引用しています)

<テレポータブル®>

マルチメディア伝送システム

・ 電源内蔵、防水仕様のオールインワンパッケージ
・ PC接続不要
・ 多彩なインタフェースにより様々なビデオ・音声・制御信号に対応可能

UA-11/テレポータブル®:免許不要で使える2.4GHz
UA-13/テレポータブル®:干渉に強い4.9GHz

<今後>

更なる精度の向上を図り、日本で多発する災害の検知と通知により、災害対策に貢献致します。

<開発情報参考ホームページ>

https://solutions.den-gyo.com

<日本電業工作(DENGYO)について>

1947 年の創立以来、日本の通信事業発展に貢献し、通信インフラの実現を支える技術・製品を数多く創出してきました。アンテナ・フィルタといったコアビジネスの研究開発はもとより、中長期的な革新技術の創出にも積極的に取り組んでいます。資本金:3 億3,000 万円、売上高:132 億円、従業員数:256 名(平成22 年3 月期)。

<本件に関するお問い合わせ先>

日本電業工作株式会社(DENGYO) 担当:マーケティング室
住所:東京都千代田区九段南4-7-15
e-mail:mail adress URL: http://www.den-gyo.com/