報道関係者各位
プレスリリース(報道資料)

2015.07.23
ニュースリリース

自立電源で簡易設置可能な920MHz帯長距離無線水位監視システムを開発 ~半径約2kmの30以上の観測点データを集約可能~

日本電業工作株式会社(本社:東京都千代田区九段南、代表取締役社長:瀬川 純)は、この度、水位センサ、無線機、自立電源、屋外設置構造をパッケージ化し、簡易設置に対応した「自立型水位監視システム」を開発いたしました。本製品システムは、920MHz帯と3G回線などによるデータ通信のため観測網の配線工事が不要です。さらに太陽光パネル電源を使用し低消費電力で自立駆動(注1)するので、長期的な恒久運用はもちろんのこと臨時設置にも適しています。

~リアルタイム監視で予知防災~

ゲリラ豪雨や超大型台風などにより多発する浸水被害への対応を図るため、水防法や下水道法などの法令が改定(注2)され、内水氾濫や中小河川の観測が未整備となっている地方自治体などでは、災害対策が急務となっています。

日本電業工作では、ワイヤレスの利便性とデータ取得の信頼性、運用管理性を追求し、水位監視に最適なシステムをパッケージ化し、簡易設置で水位を監視できるシステムを開発しました。

本システムは、子機から親機へ特定小電力(920MHz)で最長約2km範囲、30以上の観測点データの集約伝送が可能です。また、親機からは3G回線もしくは光回線で伝送し、工事現場事務所などでクラウドによるデータ管理ができるので、安全な場所からのリアルタイム監視が実現します。

図1.「自立型水位監視システム」製品構成イメージ図

図1.「自立型水位監視システム」製品構成イメージ図

~920MHz 親機子機通信実験で欠測データのない高信頼通信を実証~

実験概要

北海道 札内川にてEchoes LINK™920MHz水位監視システムの親機1台:子機1台構成の実証確認実験を実施しました。

実験箇所は身長を超える樹木が密に茂り、短時間での設置・撤収および水位センサ設置位置から離れた安全な場所でのデータ収集が必要でした。また、親機とパソコンをWi-Fi接続して、データをリアルタイムに収録すると同時に解析を行いました。

図2.実験構成と位置図

図2.実験構成と位置図

実験結果

現場到着後、短時間で設置を完了させ、翌日水没を感知し、920MHz帯で5分毎に子機から親機へ、背丈を超える樹木を貫通してデータをリアルタイムバックアップしました。親機側ではパソコンからWi-Fiで親機に接続し、SDカードにデータ収集しながら平行してパソコンにデータを吸い上げ、欠測なくデータ収集したこと、テレメータ放流量との傾向比較では(傾向として)流量変化をキャッチできていることを確認し、高品質・高信頼なデータ通信を実証しました。

図3.札内川ダム Echoes LINK™水位とテレメータ放流量比較

図3.札内川ダム Echoes LINK™水位とテレメータ放流量比較

製品特長

1. 最長約2km範囲、30観測点のデータの集約伝送が可能

920MHz帯をDENGYOならではの高性能アンテナで受信することにより、最長約2km範囲、30以上の観測点データの集約伝送が可能です。また、電波の回り込みに強いプラチナバンドなので、気象条件や障害物の影響を受けにくい高品質・高信頼性のある安定した通信でのデータ収集が可能です。

2. 低消費電力と太陽光パネル電源で完全自立運営が可能

低消費電力設計と太陽光パネル電源、920MHzと3G回線による無線通信で完全自立運営が可能です。配線工事なしで簡易設置できるので、長期的な恒久運用も臨時設置にも柔軟に対応でき、工期短縮や通信費の圧縮などコスト削減が見込めます。

3. データ収録中でもリアルタイムに値の閲覧・解析が可能

親機側をオプションの無線LAN機能搭載SDカードに変更すれば、データ収録中もデータ閲覧が可能です。現場で収録と分析が同時に行えるので、リアルタイムに水位分析が行えます。

4. 万が一の通信障害でも欠測ないデータ収集が可能に

子機と親機に内蔵された産業用SDカード(注3)にデータをリアルタイムでダブルバックアップする冗長化設計なので、万が一通信障害が起きてもデータ欠測がありません。

5. 雨量計や水温計などの様々なセンシング機器を追加・変更可能

オプションとして雨量計や水温計を追加・変更できるほか、様々なセンシング機器に対応可能です。また30ポイント以上の集約伝送が可能なので、広範囲での様々なデータ観測に柔軟に対応できます。

活用例

  • ゲリラ豪雨などによる水害対策で、河川や遊水池などの水位のリアルタイム監視。
  • 下水道の氾濫に備えた下水道内水位のリアルタイム監視。
  • アンダーパスや地下街などの浸水監視
  • 河川の水位の増減や水温の変化などによる生態環境調査。
    など。
図4.「自立型水位監視システム」利用イメージ

図4.「自立型水位監視システム」利用イメージ

今後の予定

本製品は7月22日(水)より東京ビッグサイトにて開催される「気象・環境テクノロジー展」に出展いたします。

(注1) 不日照で最大4日間駆動可能。
(注2) 2015年5月20日に法律が公布されました。詳しくは国土交通省水防法ページ をご覧ください。
(注3) 親機側はデータの収録と分析が同時にできる無線LAN搭載SDカードへの変更も可能です。