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D2ラボ

アンテナ博士の電波講座

【第7回】基地局アンテナの構成とビームチルト
基地局アンテナの構成

 さてここで携帯電話の基地局アンテナに話を戻したいと思います。すでに電波講座2の図4に示したように、移動通信はセル方式でサービスしています。セルの中心にあって携帯電話との間で電波をやりとりする基地局アンテナは、図23に示すように構成されています。

図23. 基地局アンテナの構成

 まず、セルを基地局から見ると水平方向に60゚~120゚とかなり広いので、アンテナの水平面内ビーム幅を広くするために、横幅は細く作ります。
 次に、セルの遠いほうの端で利得を確保するために、素子を縦に多数並べて、垂直面では細いビームを形成します。この結果、アンテナの形状は図23に示したように、素子が縦に多数配列された細長い形状になり、垂直面のビーム形状は図24のようになります。
 そしてこれらの素子に電波を送るための給電線路が必要であり、同軸ケーブルや誘電体基板を用いてトーナメント方式の給電系が構成されます。
 こうして入出力端子に入力された電波エネルギは、アンテナの各素子から放射され、逆に外から素子に届いた電波エネルギは入出力端子に集められるわけです。集められた所にある可変分配移相器はどんな役割をするのでしょうか。

ビームチルトとは
図24. ビームチルト
図25. 機械チルトのアンテナ
図26(a). 垂直面内指向性例(1)

 ところで、図24にも示したように、基地局から放射される電波のビームはやや下に傾いています。これは電波がセルの外へまで強く飛び出さないように、ビームをやや下方に放射しているのです。このビームを傾けることを「ビームチルト」とよびます。そしてビームが水平から下へ傾いている角度を「チルト角」と称します。
 このビームチルトはどのようにして形成するのでしょうか。簡単にチルトを形成するにはアンテナを傾けて設置することで実現できます。こうしたやり方を「機械チルト」方式と言い、図25のように、実際に傾いて設置されたアンテナを見ることができます。
 こうした機械チルトはコスト的には安価です。しかしチルト角を変えるときには、アンテナのところまで上って工事をしなければなりません。基地局配置の変更などでチルト角を変える機会が多い場合は、図23に示した可変分配移相器を用いた「電気チルト」方式とし、しかもそのチルト角を制御局から遠隔で制御できるようにします。
 電気チルト方式は電波の位相を制御します。アンテナから放射される電波の位相を、一番上の素子を進み位相とし、下へ行くほど順次遅らせます。すると電波の波面が図24のようにうつむき加減となり、ちょうどアンテナを機械的に傾けたのと同じ状況になります。放射ビームは波面に垂直な方向に進みますから、下向きのチルトがかかります。
 チルトをかけた場合の垂直面内指向性を図26(a)に示しました。これはアレイの各素子に電力を等分配し、チルト角が下向き5゚になるように直線的な位相差をつけた場合の指向性です。
 励振の振幅強度と位相分布を制御することで、この指向性はある程度制御することができます。図26(b)は上側即ち天頂方向(この図では左側)への放射を抑えた指向性です。また(c)は下側指向性がコセカント形状になっており、基地局からの距離の変化に対応する指向性に成形されています。

図26(b). 垂直面内指向性例(2)
図26(c). 垂直面内指向性例(3)
可変分配移相器
図27(a). 誘電体装荷型移相器
図27(b). 回転型移相器

 チルト角度を変更する主役が移相器です。移相器には様々なタイプがありますが、大別すると3つのタイプがあります。

a) マイクロ波線路に高誘電率の誘電体板をのせて、載せた部分と載せない部分の電波の進行速度差を利用するタイプ。
 図27(a) では、トリプレートというマイクロ波線路を誘電体板で挟んでいますが、この誘電体板の位置が動き、2つの線路の位相関係が変わります。

b) 線路の長さの差を作ることで位相差を作るタイプ。
図27(b) では摺動素子から出力線路に電波が左右に分かれて移り、摺動素子の位置で出力の位相差が変化します。

c) 線路長そのものの長さを変えるタイプ。
 例えば同軸管の長さを変えることで、直接位相を変えるタイプの移相器があります。
 このようないろいろな移相器が用いられており、このままで、あるいは多段に構成することで、1入力で多出力の位相差のかかった信号をアンテナ素子に送ります。

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